2010年10月21日木曜日

San Diego 再び

アメリカ麻酔科学会(ASA)でSan Diegoに行ってきました。3年前、僕が信州に赴任する直前の2007年11月3日~7日に、Neuroscience MeetingでSan Diegoを訪れました。ですから丁度3年振りのSan Diegoということですね。この間の教室やわが身の変化を思い起こし、感慨深いものがありました。今回は教室の皆さんと一緒に、空港よりダウンタウン寄りのPacific HW沿いの長期滞在用のホテル(http://www.marriott.com/hotels/travel/sanph-residence-inn-san-diego-downtown/)をルームシェアして、自炊できて楽しかったです。

3年前のNeuroscienceの時には、湾の西側のヨットクラブ付近のホテル (http://book.bestwestern.com/bestwestern/propertyDining.do?propertyCode=05226&group=false&disablenav=false&hideProgressBar=false&photoCategory=DINE)に泊まりました。このホテルは10数年前の留学中、同僚の釣りキチの先生がホテル前から出る釣り舟に乗って新鮮な魚を持ち帰るのを、ご飯を炊いて待っていた思い出のホテルです。3年前に泊まった時には、昔近所にあったスーパーマーケットやチャイニーズレストランがすべて潰れていて、がっかりしました。

早朝、西に向かって、昔泊まったホテルの辺りまで、往復で15~6 km ジョギングをしました。San Diegoの湾岸のジョギングコースは高低差がなく、潮風が大変気持ちよいのです。3年前にも同じコースを、逆の東側に向かってジョギングしたのですが、その時、空港西の小さいモールに、タイレストランと日本レストランが"coming soon"だと書かれていたのが気になっておりました。今回、両レストランがちゃんと存在しているのを確認でき(http://www.spicesbaythai.com/)(http://sushiya-sd.com/ )、なぜかホッとしました。多分3年前に、新たに赴任する教室とこの2つのレストランとの開業とを重ね合わせて、心のどこかで気になっていたのだと思いますね。次回、San Diegoに来る時には必ず寄ってみようと思います。それまでは潰れずに頑張っていて欲しいと思います。

さて、この3年間に信州からのASAへの演題数は、2008年 3題、2009年 8題、2010年 12題と着実に増え、ポスター作成・発表技術も向上してきました。教室からの参加者も5名、11名、15名と増えました。日本ではO大学に次いでの演題数だそうで、O大学は信州の倍近くの医局員がいるので、演題の生産性としては僕たちの方が日本一かも知れませんね(!?)。まぁ、かなり取って付けた屁理屈ですが、ともあれ演題数を競うつもりはありません。この3年間、教室の皆さんには、たとえ日本に住む医師/研究者であっても、研究成果を英語で発表し続けなければならないという、僕たちの宿命を理解してもらうために、ASAに参加してもらったのです。それくらい信州が内向きになっていると思えたのです。

長野県で何か新しい医療を確立するためには、日本で評価されないといけない、日本で評価されるためには世界から評価されないといけない。つまり日本のどこにせよ、自分たちが正しいと思う医療/医学を、新たに確立するためには、世界中から認められなくてはならないという当たり前のことを、僕たちはしばしば忘れてしまいます。このことを忘れないために国際学会に行って、自分たちの研究に対する批判を英語で受け、討議を英語で行う必要があります。井戸の中の蛙として生きていくためには、井戸の外でりっぱな蛙として認めてもらうことが前提となります。そのために、国際学会での発表や英語論文の作成は不可欠です。

これまでの数年間は与えられたテーマでデータを取り、ASAで発表するだけで可としていましたが、これからは、(1) 自分のアイデアで臨床 & 基礎研究を行い発表していくこと、(2) 一人で2,3題の演題を出すことに躊躇しないこと、そして(3) 発表した内容を必ず論文化することです。(3) がもっとも重要で、論文化せずに数年経つと、発表内容の価値がどんどん低下してしまうことを肝に銘じておいてください。若い人たちの論文化については、勿論スタッフも手伝いますので頑張ってください。

それにしてもほとんどすべての領域のポスターセッションで、アジア人、特に日本人の若い発表者が目立ちました。つまり、世界の麻酔科学の研究の一翼を日本人(特に若者)が担っているということですね。そして演題数から考えると、今後、信州大の貢献も十分可能だということになります。新研修制度以来、低下しつつはあるものの、この研究意欲の高さが日本、そして信州大の麻酔科の財産です。これがなくなれば、世界の麻酔科領域における、日本(そして信州大)の存在意義がなくなるといっていいかも知れません。

このため今後、教室の皆さんにお願したいのは、研究意欲を高く保ちながら、論文化のための英文作成能力を高めるよう、毎日、少しの時間でいいので努力してもらうことです。地道な努力を数年続けると、海外での発表や英語論文作成能力が身についてくるはずです。とにかく日々継続することが重要です。騙されたと思ってやってみてください。先輩たちは皆、そうして成長してきたのですから。

来年のASAは10/14-19(Chicago)です。またルームシェアして過ごす予定ですので、いいデータを持って皆でChicagoに行きましょう!! そのために、帰国後すぐに来年に向けての新しいスタートを切りましょう。