2010年8月30日月曜日

麻酔/集中治療セミナー in 直島

O大学主催の初期研修医を対象としたセミナーで直島(http://www.naoshima-is.co.jp/)に行ってきました。このセミナーは4-5年前に始まり、年々参加者が増えて今年は日本全国から70名が集まったそうです。麻酔科を専攻する後期研修医は毎年400名程度なので、このセミナーに参加した人が全員麻酔科を専攻すれば、全国の麻酔科後期研修医の1/6-1/5が直島セミナー出身者ということになります。Z会の東大合格者の割合みたいだね。

2日にわたり、O大学のスタッフたちが、麻酔の歴史から脳蘇生、ICU管理、呼吸・循環生理、エコーガイド下神経ブロックなど、麻酔/集中治療のすべての分野の講義をしていました。スタッフの質の高さに驚きましたね。O大学の教室には、日本や世界的に名が通っている先生方が沢山いて、その伝統のせいか、若い先生方の講義のレベルの高さにも脱帽しました。

O大学のM教授は、崩壊の危機に瀕している麻酔科医療を立て直すには、大学が責任を持って若い麻酔科医を教育して、日本の麻酔科領域に秩序とモラルを取り戻す必要があると考えています。僕もこの意見に完全に同意します。そしてこのM教授をサポートして、O大学の実力派スタッフたちが、全国から集まった初期研修医たちに、ホスピタリティを持って接している姿は感動的ですらありました。

しかし、セミナー参加費1万円で直島観光ができるので応募した、なんて若者もおりました。O大学のスタッフたちが自分の時間を割いてくれている有難さを、君たちは理解しておるのか!!、それって人としてどうよ!! と思うこともありました。

最近の若者は、密に人間関係を積み上げたつもりでも、メール1本で入局を止めた、なんてことが起こります。せめて電話か直接会って相談してほしいと思うのですが、あまりに礼を失している若い医師が確かにいます。これって、単に僕が年寄り臭くなって、若者に対して説教臭くなっているだけではないと思うのです。

信州でも初期研修医向けのセミナーをしてみては、と言われました。でもやっぱりメール1本でサヨナラされた過去の体験から、二の足を踏んでしまいますね。歳をとると、一度若者から受けたトラウマから、なかなか回復できないものです。

但し、70名もの(一応は)麻酔科志望の初期研修医がいる現実に、少し勇気づけられて直島を後にしたのです。信州でも若い仲間が増えるといいなぁ。