2009年2月9日月曜日

対象に迫ることと、対象から離れること

Sudhir Venkateshのブログ(http://sudhirvenkatesh.org/)を見て、臨床医学と社会学が似ていると思った。若い頃、先輩から、患者さんのバイタルサインを、自分のバイタルサインと感じるように麻酔をかけろと言われた。その結果、同じ手術と麻酔法でも、同じ経過を辿る症例などいないと思うようになった。社会学で一人に密着した結果、相手に入れ込んでしまうのに似ている。しかし普遍化するためには、対象から離れて、群間を比較しないといけない。社会学で、アンケート調査が必要なのと一緒だ。

社会学における、一個人に対するbiographicなアプローチと、アンケートをもとにしたをアプローチは、それぞれ、医学における症例報告と原著ということになるんだろうね。結局、医学も社会学も、個別化と普遍化の間でもがいているってことか。